こんにちは!山川洋明です。
ついに、これまでの環境の答え合わせとも言える、エリア大会福岡が開催されました!
世間ではEB03の発売で賑わっていますが、今回の福岡エリア大会は、ルール上、EB03の使えない13弾環境で行われました。
つまり、店舗予選や公式3on3で多くのプレイヤーが研究を重ねた環境の、まさに集大成を示す大会となったわけです。この環境に絶対の自信を持つ強豪プレイヤーたちが、福岡に集結しました。
この環境の構図は、皆様もご存知の通りです。
驚異の除去耐性と五老星による展開力が圧倒的な黒イムと、潤沢な手札を抱えながらパワーカードを叩きつける赤青エースが環境の頂点に君臨し、その二強の間に緑ゾロが食らいつくという、非常に固いメタゲームが形成されていました。
多くのプレイヤーが、この三強の誰かが優勝するだろうと予想していたはずです。
しかし、大会の結果は、多くの予想を裏切る衝撃的なものとなりました。
なんと、これまで環境ではひっそりと息を潜めていた「緑ボニー」が、この三強を打ち破り、見事に優勝を飾ったのです!
なぜ、最後の最後で緑ボニーが最強の座をつかめたのか?その理由を、一緒に見ていきましょう。
福岡エリア大会のメタゲーム分布
まずは、この集大成の大会に集まったプレイヤーたちが、どのようなデッキ選択をしたのか、その分布を見ていきましょう。
| リーダー | 使用率 | コメント |
| 赤青エース | 24% | 環境のトップ。潤沢な手札とパワーカード |
| 黒イム | 18% | 五老星の決定力で二番手を占める。 |
| 緑ゾロ | 17% | 三番手。連続攻撃で二強の隙を狙う。 |
| 赤紫ロジャー | 11% | ドン加速と大型キャラ連打が強力。 |
| 青紫ルフィ / 赤黒サボ | 各5% | エースへのメタとして一定のシェア。 |
| 緑ボニー | 4% | 優勝デッキながら、使用率限定的。 |
この分布を見てわかるのは、やはり赤青エース(24%)、黒イム(18%)、緑ゾロ(17%)の三強で、使用率の過半数(59%)を占めているという事実です。
ほとんどのプレイヤーが、この環境の答えは三強のいずれかにある、と信じていたことがわかります。
そして、そのすぐ後ろには、赤紫ロジャー(11%)が続き、ここまでの合計で70%ものシェアを占めていました。青紫ルフィや赤黒サボといったリーダーも、エースへのメタデッキとしてそれぞれ5%のシェアを確保しています。
この強固なメタゲームの中で、わずか4%のシェアしかなかった緑ボニーが、予選を勝ち抜き、トーナメントを制したのです。
この結果は、「大勢の意見」とは異なる「少数派の明確な解答」が存在したことを示しています。
緑ボニー優勝の理由:なぜ「今」刺さったのか?
緑ボニーの優勝は、特定のリーダーへの明確なメタではなく、環境全体への高い対応力が評価された結果だと筆者は考えています。
イムとの戦い:不利を覚悟した上での「押し込み」
まず、環境のトップである黒イムとの対面です。ボニーにとって、イムに後手を取られると明確に厳しい状況となります。中盤はマーカス・マーズ聖の除去が刺さる上に、五老星着地後はリーダー効果で1体レストにしても焼け石に水です。

しかし、ボニーが後手ならばまったく勝てないわけではありません。イム側の出力は安定しているものの、極端に爆発的なわけではないため、ボニーもうまく大型キャラを複数並べ、五老星が繰り出すブロッカーたちを押しつぶす勝負に持ち込むことが可能です。
エース・ゾロへの「完璧な解答」
ボニーの真価が発揮されたのは、エースやゾロといった、環境の中核を担うリーダーたちとの戦いでした。
- 対赤青エース: エースは強力なキャラを毎ターン1体ずつ出す戦術が主体です。ボニーは、その出てきたキャラを丁寧にレストにして、複数体に攻撃をさせないことで優位に立ちます。そして、レストにしたキャラを9コストのシャンクスや10コストのドフラミンゴといった大型キャラで討ち取っていくのが強力な勝ち筋となります。
- 対緑ゾロ: 緑ボニーは、キャラの縦展開能力に長けており、キャラのアタックを完全に封殺できる能力を持っています。リーダーゾロがガンガン殴ってくるものの、ボニーはライフが5もあるため、その連続攻撃の脅威を正面から受け止めることができます。

赤紫ロジャーへの粘り強さ
赤紫ロジャー相手は、ドン加速されて大型キャラを連打されると厳しい展開になりますが、リーダー効果でアタック回数を削ることで、決定打を受け流すことができます。きちんと耐えきりさえすれば、9シャンクスやドフラといった大型キャラで挽回の余地があります。
この結果、黒イム以外にはどうとでもなる、という高い対応力を示したのが、緑ボニーが優勝できた最大の理由と言えるでしょう。
エースやゾロが跋扈する環境で、この安定した勝率こそがボニーを頂点へと押し上げたのです。
トップ16進出リーダーに見る環境の真実:エースの牙城とゾロの台頭
緑ボニーが優勝という最高のサプライズを提供しましたが、トーナメントを勝ち上がったトップ16の顔ぶれを見ることで、この環境の「真の実力者」と「効率的なデッキ」が誰だったのか、その答え合わせができます。
福岡エリア大会の決勝トーナメントに進出したリーダーの内訳は以下の通りです。
| リーダー | 進出数(16デッキ中) | 優勝 |
| 赤青エース | 7 | |
| 緑ゾロ | 4 | |
| 黒イム | 3 | |
| 青紫ルフィ | 1 | |
| 緑ボニー | 1 | 優勝! |
使用率ではエース(24%)、イム(18%)、ゾロ(17%)の三強でしたが、トップ16への進出率を見ると、興味深い結果が見えてきます。
エース:揺るぎなき環境のトップランナー
最も注目すべきは、赤青エースです。全体使用率24%に対して、トップ16の約44%(7/16)を占めました。これは、エースがただ単に人気なだけでなく、現環境で最も安定して勝利を積み重ねられる、信頼性の高いデッキであることを証明しています。潤沢な手札とカウンターイベントによって、最も完成度の高いデッキであると言えるでしょう。
ゾロ:環境の隙間を縫う効率的なアグロデッキ
緑ゾロもまた、非常に素晴らしい進出率でした。使用率17%に対して、4人がトップ16入りを果たしています。これは、エースやイムといった大型デッキが、10ドンという終着点を目指して準備を整える間に、ゾロのアグレッシブな連続攻撃が着実にライフを削り、その準備を崩壊させたことを示唆しています。ゾロは、トップメタの防御力に依存した戦略を打ち崩す、優れたアンチテーゼとして機能したと言えます。
イム:数字に表れた「フェア」な強さ
対照的に、黒イムは使用率(18%)とトップ16進出率(3/16、約19%)がほぼ一致しました。これは、イムが強力であることに間違いはないものの、その強さが使用率に比例した「フェア」なものであることを意味します。イムは、先手の出力が控えめなため、エースやゾロのように、使用率以上に結果を残すという「暴れ」は見せなかったと言えるでしょう。
ボニーとルフィ:少数派の明確な解答
そして、わずか4%のシェアから優勝を勝ち取った緑ボニー、そして5%の青紫ルフィがトップ16に入っていることは、「大勢の意見」に惑わされず、明確なメタ戦略を構築したプレイヤーが報われるという、エリア大会ならではの真実を示しています。特にボニーは、この一戦で環境の構造を揺るがす存在となりました。
まとめと今後の環境予測
この大会は、黒イムと赤青エースの二強環境の中で、緑ボニーという少数派のリーダーが「勝てるデッキは存在する」という明確な答えを突きつけた、非常に意義深い大会となりました。決勝トーナメントのデータが示すように、エースやゾロは依然として高い勝率と効率を誇る強力なデッキでしたが、ボニーの優勝は、派手な決定力よりも、環境への高い対応力と粘り強さが、エリア大会のような練度の高い場所でこそ活きることを証明しています。
そして、この福岡エリア大会をもって、純粋な13弾環境は、一つの区切りを迎えました。
これから環境は、待望のEB03が導入されることで、激変することでしょう。新たな強力なカードやリーダーがメタゲームに参入するかもしれません。
ボニーの優勝が示した「少数派の明確な解答」という教訓を胸に、新しい環境でも皆さんが独自の戦略を見つけ出し、勝利をつかめることを心から願っています!
それでは、また次回の記事でお会いしましょう!



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