はじめに
こんにちは!山川洋明です。
wave1も終わり、来月には新弾が発売されます。来月末には愛知で公式3on3が開催されます。
今回は、大会の合間のシーズンということで、ちょっと深掘りした戦略の話をしたいと思います。
テーマは、名著「敗者のゲーム」です。

この「敗者のゲーム」という考え方は、元々テニスの試合から生まれたものなんですが、カードゲーム、特にワンピースカードにも非常に当てはまる奥深い概念なんです。
簡単に言うと、テニスでは…
- プロのゲーム(勝者のゲーム):すごいショットを決めてポイントを取りに行く。ミスを恐れず、積極的にリスクを取ってウィナーを狙うことで勝利が決まる。
- アマチュアのゲーム(敗者のゲーム):すごいショットを打つことよりも、相手がミスをするのを待つことで勝利が決まる。自分のミスをいかに減らすかが重要になる。
という特徴があります。そして、多くの分野で「いかに自分のミスを減らすか」が成功への鍵である、とこの本は説いているんです。
さあ、今日はこの「敗者のゲーム」の考え方を、ワンピースカードに当てはめて、皆さんの勝率を劇的に上げるための思考法を一緒に勉強していきましょう!
「勝者のゲーム」と「敗者のゲーム」:ワンピースカードでの具体例
ワンピースカードにおける「勝者のゲーム」と「敗者のゲーム」とは、具体的にどんなプレイングやデッキ構築に当てはまるのでしょうか?
勝者のゲームのプレイング
「勝者のゲーム」に当たるプレイの代表例は、終盤のリーサル(ゲームを決めるアタック)シーンに現れることがあります。
例えば、相手の手札のカウンター値を完璧に読み切り、最後の最後に安いパワーのパンチでライフをもぎ取るようなプレイです。相手の2000カウンターの消耗を見て、あえて6000パンチを通して勝利を決める。これは決まったら本当にすごいですよね。
他にも、7000パンチで相手の手札から2000カウンターや1000カウンターを奪い取った後、残ったドンやアタッカーで6000パンチを通してライフを奪う、といった動きも「勝者のゲーム」と言えるでしょう。

これらは一見するとスーパープレイに見えますが、実は相手のプレイングや表情、手札の残り枚数をしっかり観察しているからこそできる技なんです。あとは、相手のデッキがどんなカウンターイベントを持っているか、といったデッキ理解も非常に重要になってきます。まさに、リスクを恐れず、読み切って勝ちに行くプロの技と言えるでしょう。
ただし、一歩間違えると思ったように相手のライフを削り切れず、逆に逆転される諸刃の剣でもあります。
かっこいいからと言って、憧れて真似すると大けがする恐れがあります。
敗者のゲームのプレイング
一方、「敗者のゲーム」のプレイングは、「セオリー通りにやること」に集約されます。
序盤はコツコツと5000パンチで相手の手札を削り、中盤からは7000パンチでリーダーのライフを堅実に奪っていく。過剰なドンを付けて無理はしないし、必要のない場面で無駄にカウンターを消費することもありません。

無茶をしないからこそ、カードゲーム初心者の方がこのセオリー通りにプレイすることを意識すると、ぐっと上達が早くなります。負けた時も「なぜ負けたのか」が分かりやすいので、反省点を見つけやすく、次のプレイに活かしやすい、というメリットもあります。
基本に忠実にプレイングし続けるには忍耐も求められます。苦しい場面でもセオリーから外れず、勝利を信じて正しいことを突き詰める王道です。
デッキ選択と構築における「勝者のゲーム」と「敗者のゲーム」
プレイングだけでなく、デッキ選択や構築にも「勝者のゲーム」と「敗者のゲーム」の考え方が存在します。
勝者のゲームのデッキ選択・構築
大会環境にいるすべてのデッキの相性を完璧に読み切り、「今、この環境ならこの特殊なリーダーが一番勝てる!」と判断して持ち込むのは、まさに「勝者のゲーム」的なデッキ選択です。
誰もが使っていないようなデッキで、環境の主流デッキを的確にメタり、トーナメントを勝ち上がる。これは非常に高度な読みと、そのデッキへの深い理解と練度が必要になります。成功すれば、エリア大会京都CSで勝ち残った二種類のナミや、CSで優勝した赤レイリーのように、大きな栄冠をつかめる可能性があるでしょう。

敗者のゲームのデッキ選択・構築
それに対して、「敗者のゲーム」的なデッキ選択・構築とは、自分がプレイミスをしにくいデッキを選び、そのデッキの練度をひたすら練習で高めていくことです。
例えば、デッキパワーが高く、どの対面でも最低限戦えるような安定感のあるデッキを選び、そのデッキの動きを体に染み込ませる。相手のミスを誘いやすい、あるいは自分のミスが致命傷になりにくいような構築を目指す。そして、最終的には自分の「努力」と「練度」で勝利をもぎ取る、という考え方です。
これは決して消極的な選択ではなく、堅実に勝率を上げていくための非常に合理的なアプローチと言えるでしょう。
基本的には環境上位のデッキを握った方が敗者のゲームのコンセプトに合っています。

自分のミスを減らすことの重要性:意図を悟らせないプレイ
「敗者のゲーム」の核心は、いかに自分のミスを減らすか、そして相手にミスをさせるか、です。そのために重要なのが「相手に意図を悟らせない」プレイです。
例えば、本当はこのターンに9ドンで大型キャラを出したいのに、そのターンにライフへのリーサル(ゲームを決める攻撃)を狙っているフリをする。パワーの大きいキャラから思い切ってリーダーへ殴り掛かり、相手の手札からカウンター値を引き出しながら、実は裏で大型キャラを出す準備を進める、といった戦略です。

もし、パワーの少ないアタックから始めてしまうと、相手視点では「このターンはそんなに攻めてこないな」「このターンに何か大きな動きがあるな」と、こちらの意図がバレてしまうことがあります。そのターンのアタックが読まれないように、相手の思考を常に揺さぶるのが肝心なのです。
自分のプレイングに一貫性を持たせつつ、相手に余計な情報を与えないことで、相手が「何を警戒すべきか」を誤認させ、結果として相手のミスを誘うことができます。
ワンピースカード特有の「敗者のゲーム」要素:ケアと期待値の思考
ワンピースカードでは、特に「思い込みやケア不足、自分に都合のいい解釈」が敗北につながる典型的なミスだと言えるでしょう。
例えば、「トリガーから都合の悪いカードがめくれなければ勝ち!」と言って、勢いよく突っ込むのと、「ここで突っ込むのが、トリガーの可能性を含めても一番期待値が高い」と理解した上で行動するのとでは、その意味合いが大きく異なります。

- 「勝者のゲーム」を追求するプレイヤーは、トリガーの確率まで計算に入れ、その上で最もリスクが低く、かつ勝利に直結する期待値の高い選択を選びます。
- 「敗者のゲーム」を追求するプレイヤーは、不用意なリスクを避け、慎重にプレイを進めます。たとえそのターンにリーサルを逃したとしても、次のターンに十分耐えられる手札や盤面があるなら、無理に突っ込む必要はありません。終盤であれば、ブロッカーを複数並べて相手の猛攻を耐え抜く、という選択肢も当然のように視野に入ってきます。
勝利への道は一つではありません。時に大胆な一撃で相手を沈める「勝者のゲーム」的なプレイが必要になることもありますが、多くの場面では、自分のミスを減らし、相手のミスを誘う「敗者のゲーム」的な思考が、堅実な勝利へと導いてくれるはずです。
おわりに
名著「敗者のゲーム」の概念を通して、ワンピースカードの戦略について掘り下げてきましたが、いかがでしたでしょうか?
日々の対戦や練習の中で、「今、自分はどちらのゲームをしているのだろう?」「どうすれば自分のミスを減らせるだろう?」と考えてみることで、新たな発見があるかもしれません。
もちろん、自分が大好きなリーダーやカードで戦い続ける「愛」も、カードゲームを楽しむ上で非常に大切な要素です。しかし、時にこの「敗者のゲーム」の視点を取り入れることで、皆さんの勝率がぐっと上がり、ワンピースカードがもっと面白くなるはずです!
ぜひ、次の大会やフリープレイで、この「敗者のゲーム」の考え方を意識してプレイしてみてください。
それでは、また次回の記事でお会いしましょう!



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